目次
パラプロバイオティクス
パラプロバイオティクスの定義
パラプロバイオティクスは、2011年にイタリアの研究者によって提唱された用語で、以下のように定義されました。
(原文)
non-viable microbial cells (intact or broken) or crude cell extracts (i.e. with complex chemical composition), which, when administered (orally or topically) in adequate amounts, confer a benefit on the human or animal consumer引用:Taverniti, V.& S. Guglielmetti, 2011
(和訳)
適切な量を(経口または局所的に)摂取した際に、ヒトまたは動物の消費者に有益な効果をもたらす生育不能な微生物細胞(無傷または破損)または粗細胞抽出物(すなわち、複雑な化学組成を持つ)
簡単に言うと以下のように言えます。
パラプロバイオティクスの誕生背景
FAO/WHOによるプロバイオティクスの定義では、プロバイオティクスとは「生きた微生物」である必要がありました。
(原文)
Live microorganisms which when administered in adequate amounts confer a health benefit on the host(和訳)
適切な量を摂取した際に宿主の健康に有益な効果をもたらす生きた微生物
しかし、不活性化され生きていない微生物においても、人間の健康に有益な効果をもたらす微生物も存在することがわかってきました。
そのため、プロバイオティクスの「適切な量を摂取した際に宿主の健康に有益な効果をもたらす微生物」という考え方を基本として、その微生物が「生きているか・生きていないか」で区別するようになりました。
パラプロバイオティクスという用語は、プロバイオティクスと似ているけれど異なるものを表現できるように、「〜の側に、〜の近くに、〜に似る」といった意味を持つ接頭辞「パラ」がついています。
パラプロバイオティクスのメリット
パラプロバイオティクスのメリットです。
- 常温保存の食品にも使用することができる
- 賞味・消費期限の長いロングライフな食品にも使用することができる
(1)常温保存の食品にも使用することができる
プロバイオティクス食品は微生物を生きた状態に保つために、冷蔵など温度管理が必要です。
一方で、パラプロバイオティクス食品は微生物の状態を管理する必要がないため、常温保存の食品にも使用することができます。
(2)賞味・消費期限の長いロングライフな食品にも使用することができる
プロバイオティクス食品の微生物が生きていられる期間は短く、その生存期間にあわせて設定される賞味・消費期限は短くなります。
一方で、パラプロバイオティクス食品は賞味・消費期の長いロングライフな食品にも使用することができます。
パラプロバイオティクスの例
身近なパラプロバイオティクスにキリンのプラズマ乳酸菌があります。
プラズマ乳酸菌は「健康な人の免疫機能の維持をサポートする乳酸菌」で、サプリメントやヨーグルトのみならず、紅茶や緑茶にも使用されています。
参考文献
(1)Taverniti, V., S. Guglielmetti. The immunomodulatory properties of probiotic microorganisms beyond their viability (ghost probiotics: proposal of paraprobiotic concept). Genes Nutr. 2011, Vol.6, p.261-274, https://doi.org/10.1007/s12263-011-0218-x
(2) キリンホールディングス, プラズマ乳酸菌 免疫ケアブランドサイト